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2009年01月

72’SHOVEL エンジン part②

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①今回、もともと付いていたオイルポンプがヒジョーに怪しい状態だった為、オーナーのリクエストでS&Sのオイルポンプに換えました。
これがまたポン付けとはいかず(ボルト穴とかは合っているので取り付けだけならそのまま取り付けれますが・・・・)このように新たにオイル穴を開けたり、要らない穴を塞いだりしなければなりません。

クランクケースのこの付近の穴という穴が何処にどう通じているかを各年式で全て理解しておかなければ、とんでもない事になる事もあります。
たま~にですが、ごちゃ混ぜのエンジンとかではこの辺が間違って組まれている事もあるので、車体番号で見た年式通りに部品を付けてもエンジンがぶっ壊れる事もあります。ハーレーのエンジンの恐ろしい一面を紹介いたしました。

②こっちも・・・・ドリドリ
この車両はオープンベルトなので空けなくてもいい所もあるのですが、将来クローズドに戻した人が困惑しないように開けときましょう。写真には有りませんが、ブリーザーギアも加工します。

③カムカバー各種(4種類)
クランクケース側のオイル通路とマッチングしたカムカバーを使わないとエンジンが焼きつく恐れがあります。カムカバーガスケット1枚間違えただけで同様の事が起こることも有ります。
気を利かして新品のブッシュに入れ替えても、オイル穴が開いてない物もあるのでこれまた要注意ですよ。信じちゃいけないアメリカ製品。

④んで、こんな感じで付きました。ここから更にドライブギアも強化してマルチグレードのオイルを使える様にします。

72’SHOVEL エンジン

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①一般の方にはあまり見受けないこの小さな部品。バルブ・キー(キーパー、コッター)というもので、バルブスプリングが外れない様にセットする為のクサビの様なものです。
このバルブ・キーですが、写真手前の黒い方がこの車両に付いていた物で、社外品(有名メーカー)の物です。奥の方が純正です。
パッと見は手前の社外品の方が加工精度も高くよさそうですが、このちょっとしたパーツの選択ひとつでエンジンの特性が変わってしまうので要注意です。

②まず純正のバルブ・キーをセットしたところ、セット長(スプリングの長さ)が34.35mmです。

③次に社外品のバルブ・キーをセットしたところ、セット長32.98mm。部品が肉厚な為、1.37mmスプリングが縮んだ状態で付きます。これにより理想のスプリングレート(バネの強さ)より硬い状態になってしまいます。バネが強すぎるとバルブガイド、ロッカーアーム、タペットローラー、カムベアリング他、多くの部品に対する負担が大きくなりエンジンの耐久性が落ちる可能性が出てきます。
しかも怖い事に、この社外品のパーツの部品番号に対応する純正品番が②の物と同じなので、何も知らずに互換性が有ると思いそのまま組んでしまう恐れがあるのです。

古いエンジンを組む時は、バラしてチェックして計測するのに非常に時間がかかります。悩んでるだけで半日過ぎる日もよくある事です。
たまに「俺は30分もあればエンジン全バラに出来るぜ」とか言うメカニックが居ますが、バラしている最中、いや、バラす前の段階からそのエンジンの悪い部分を見つけ出す為のヒントが沢山隠れているということを知らなければなりません。

④これはバルブスプリングのロワーカラーですが、国産トラック用のシールを入れる為に内径が広げてあります。1340用のヘッドならまだここまで広げてもいいですが、1200はバルブガイドのツバの部分にこのロワーカラーが乗っかるのでこれでは角当たりしてスプリングが斜めに付いていたので要交換です。
ちなみに上部のアッパーカラーは4個中3個が違う物が入っていました。よーく見ないと判らない程の違いでしたが・・・
最近、ネットや雑誌で得た受け売りの知識で組んだ様なエンジンをたまに見かけますが、その情報が自分のバイクに当てはまらない場合が多くあるので、やはり自分の目で見て考えていかなければ本当の技術は手に入れる事が出来ないと思います。

チューニングエンジン用のシリンダーを主に作っているアクステルの工場にTrust Nothing (何者も信じるな)と書いてあったと思うが、常識とされている事や、時に作業をしている自分自身ですら疑わなければ良い物は出来ないという事だと思う今日この頃です。

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