- 2012-02-11 (土)
- エンジン
今回はかなりどーでもいい事ですが、"怪"シリーズの流れで書いちゃいます
これはベアリングやシャフト、ピストンなどの外径の精密測定に使う”マイクロメーター"という測定道具です。
小さい物から順に、0~25mmまで測定できる物、順に25~50mm、50~75mm、75~100mmと4種類のマイクロメーターを当店では使用しています。
これは(写真手前)25~50mmの物ですが、25mmの隙間の部分に何か黒い物が挟まっております。
拡大してみると、[20℃]、下に[25mm]と書いてある見慣れない物体ですが、これは電池を入れ替えた際などに、基準の25mmを取るための"基準棒"と言われる物です。
下の[25mm]は解りますが[20℃]って何?って思った方はおられるでしょうか?
大体の人は「また何か小難しいこと言うとるなぁ」とお思いでしょうが、、、その通りです。
金属は温度によって膨張したり収縮したりするので、「基準出しをする時は室温などを全て[20℃]の環境下でやってネ!」って意味の[20℃]の表示なのです。
「ハーレーなんてアバウトなモンだし、大体エンジン暖まったら何度になんねん!そんな話どーでもえーわ!」と言う方も居られるでしょうが、、、大体あっています。
ま、こんな事もあるって事を知っておけば、もしかしたら何かの役に立つかもってな感じで本題に入ります。
INがエンジンルームでの測定時の室温です。(ちなみにOUTは外気温)
8℃のピストン外径を測ります。「77.319mm」です。最小単位が1/1000mmなので、冷えたピストンは5/100mm小さくなっています。(77.369mm-77.319mm=0.05mm)
「何を細かい事言うとんねん!」とツッコミが入って来そうですが、、「ごめんなさい」と謝るより他ありません。
ちなみに一般的なショベルなどでシリンダーとピストンのクリアランスは5~6/100mmぐらいです。
「ダメじゃん!!」と思われた方もいるでしょう。暑い夏と、寒い冬の工場では・・・・・・
でも、実は今回はピストンのみ冷やしたので、実際の寒い工場では測定工具も冷たいし、シリンダーだって冷たいので、実際は影響はもう少し小さいです。その辺を考慮すればダイジョウブです。
実際、修行していた店ではある程度の温度管理しかしていませんでしたしね。
でも、"一度知ってしまうと気になっちゃう派"なので一応私はやっています。
エボのピストンクリアランスを2/100mmまで詰めるとかアホな事をやったりしましたが(ちなみに焼きつきませんでした)そこまでやらない限り必要でないと言えば必要ない事なのです。
ちなみにこの8℃のピストンを20℃まで温度が上がった直後に測ると、また違った数値が出ます。
測定環境を20℃にして30分~1時間してから計測するのがベストです。
とまぁ、どーでもいい事を長々と書きましたが、これらの事を知った上でイメージ力を付けてある程度アバウトにやるのと、何も知らないでアバウトにやって、失敗の原因がウヤムヤになるのとではまた違うかな?ってな感じです。
あまりこういう事を書くと測定オタクだと思われそうでイヤなんですが、0(ゼロ)基準を一定にしたいのと、数字から見えてくるイメージとかもあるので、細かい目の測定とかしてるだけなんですよね~。