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進歩(エボリューション)


前にも使った写真ですが、ご存知太陽の塔。

1970年大阪万博のメインシンボルとして建てられたこの太陽の塔は、岡本太郎氏によって作られた作品であるのはあまりに有名だけど、それについて私の知っているウンチク的な話を。

前にも少し書いたが、万博のメインシンボルを作る際に、有名な建築家などを当たったが引き受けてくれる人物がいなかったそうな。

そこで候補に挙がったのが岡本太郎氏。

万博のテーマは「進歩と調和」それに沿ったメインシンボルが望まれたのだが、実はこの太陽の塔はそのテーマを全く否定した物であった。

万博当初は公開されていた地下の部分には、主催者側からはナポレオンやエジソンなど世界の偉人を展示して欲しいと頼まれたが、これを拒否し「この世界を支えているのは一人一人の普通人達なんだよ」と、なんでも無い労働者や子供たちの写真を展示したという。


太陽の塔は3つの顔があるのだが、「過去」「現在」「未来」を表しているという。

特にこのお腹の位置にある「現在の顔」

これは高度経済成長を成し遂げ(あまりの急成長をした)浮かれに浮かれた現在(1970年当時)に対して否定的というか懐疑心をあらわにしたものである。

写真中にもあるとおり、後に岡本太郎氏は語っている「僕は進歩と調和という万博のテーマを信じない」「調和は妥協に過ぎないし、進歩主義という観念自体も信じない」

なんと、メインシンボルなのに万博のテーマを真っ向から否定するという実に無茶苦茶なメッセージが込められていたのであった。

※「愛は地球を救う」という番組のテーマソングを作って、歌詞の内容が「こんな番組では地球は救えねーよ~♪集まった募金額より高い制作費やタレントへのギャラ~♪」って言ってる様なものデス。

太陽の塔が「おいおい、お前ら。そんなに浮かれて進歩だ進歩だと言ってるが、これ以上の進歩が本当に必要なのか?」と睨みつけておるのです。



「進歩の何がいけないの?」

そう思う方も多くおられるだろうと思う。
私も進歩の恩恵を受け、利用もしている。

ここに一つ、進歩の行き過ぎた形を紹介しておこう。

まだ、世間ではそこまで話題になっていないと思うのだが、「2045年問題」というものがある。

これは何かと言うと、人工知能の技術がどんどん進んで行っていて、2045年には全人類の知能を凌ぐ人工知能が出来るというのだ。それから先はどんどん進み、人工知能がどんな事を思いつき、考え、何を生み出すのかは全く予測不能な自体となるそうだ。

「えー、俺すでに電卓にも勝てへんで~」とかいう話ではなく、あらゆるスペシャリストや英知をもった人を超え、脳のメカニズムをすべて理解し(シナプスの動きを正確に把握したり)、それを超えといった具合だ。

動物の世界は弱肉強食が当たり前なのだが、人間には天敵が居ない。この70億人にも膨れ上がった人間を人類を超えた人工知能はどう見るか?といった事が問題視され、欧米ではそれの対策などに多くの予算をかけているそうな。

音声認識システムを発明した天才科学者カーツワイルはこの加速は止めれないとし、自分の意識を残しコンピューターと一体化する事を目標とし、研究しているという。
※コンピューターおばあちゃんならぬ、コンピューター人間だってさ

要は本人が死んでも、自分の意識(感覚)は生き続け、どんどん賢くなるコンピューターと共に生きる。ある意味不老不死でもあり、神の領域に行こうとしている。

まあ、科学者からしたら全宇宙の謎など、世の中のすべての謎を解明したいけど、どんな天才でもそれは不可能で、人工知能人間?になることでそれが叶うという夢のような話。

でも、一般の人間からしたら、何を考え出すか知れないコンピューターを創りだすなどというのは堪忍してくれってな話ですよね。

※まぁ、この辺の問題を言っている日本の科学者もだいぶSF好きなので、ターミネーターのような世界にはそうそうならんだろうと言うのがわたしの見解ですが。


進歩と言えば医療の進歩もすばらしく進んだものです。

医学の進歩のおかげで悲しい思いをした人がだいぶ減った(勿論、私も経験があるので否定はしません)反面、伸び続ける平均寿命、増える人口。

何学的に見るかで結構変わるが、もともと人間の寿命は50歳程だそうで、みんなが100歳まで生きたら労働できる世代とのバランスが崩れるのは当然。

ただでさえ破壊されていく地球の環境に、これから途上国が急成長すればさらに環境破壊は加速していく。


産業革命で機械が人の代わりに働き、失業者が増えたぐらいまでは可愛い話。

普通の製造業とかは、まず使う材料を作る人が労働時間に対してお金をもらい、それを組み立てる人も労働時間に対してお金をもらい、それを売る人も労働時間に対してお金をもらい、それを労働した人が買ってというバランスが成り立っているのに、IT革命でボタン一つで億単位の金を稼ぐ物が出て来てバランスを崩している。


世界の景気が悪いとかいうのは其の辺のバランスが一部に偏っているだけでは?と思う。

不景気と言うとリーマンショック以降と言う言葉を耳にするけど、当のリーマン・ブラザーズの多くの幹部や社員たちは高額の退職金や手切れ金を手にしたといわれる。(いろいろと茶番くさい)


世界の人類平均のGDP、つまり世界の人の平均の生産高は年間たったの70万円くらいなんです。それを知ると、いかにバランスが悪いかがなんとなく解ってくる。


世界で生産される食料は120億人分。

なのに足らないのはなぜだろう?


本当に人間は進歩したのだろうか?と思ったりもする。

本当に必要なものと、よくよく考えると不要なものを区別して行かねばとも思う。


世界はまだ不幸だってさ

価値は生命(生き方って事)に従ってついていく

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